ハイトーンその6

下唇をめくったアンブッシャーで挑戦したDouble Hi-Bbは
以外にもかなりしっかりしたものでした。
ハイトーンが苦手だった私にとっては
正直言って「夢のよう」でした。

邪道は邪道ですがとりあえず〈出ない音〉
を練習することは出来ません。
どんな方法であれ、まず〈その音を出す〉
という事が最も大事な事です。

私は、
何度も、何度も、何度も、何度も
この音を吹きました。
何度も吹いてこの音が出た時のイメージを
身体で覚えようとしました。
勿論、アンブッシャーは邪道のままですが
この音を吹くときの身体の感覚を先ず覚えようとしたのです。

次に私は、
「何故下唇をめくってリムに引っかけて吹くと
こうも簡単に高い音が出たのか？」
を考察してみました。

先ず考えられるのは、唇をめくり リムに引っかけてしまうと
口輪筋に力を入れることが事実上不可能になる
ということでした。
やってみればすぐ解るのですが
この状態で口輪筋に力を入れようとすると
リムが滑って口の中に入ってしまいます。
しかし、力は入っていませんが
〈めくって、リムで押さえつけている〉ので
《硬くはなっていないが かなり弾力がある状態》
でした。

もう一点、リムによって下唇が固定されてしまうので
上唇側からどんなにアパチュアに向かって力を入れても
《下唇が下方向に逃げない》事も重要でした。

しかし、このアンブッシャーのままではしっかりと共鳴させることは
非常に困難であり、また、
フレキシビリティーについては致命的です。

上記の二点を下唇をめくらずに解決するには
下唇を支えるための《遠隔操作》の方法を具体的に
「どの筋肉を使うか？」という方向から考える事が必要でした。


その7へに続きます。